Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.783 caratteri · 22 schermate
「これは、焼け死んだのじゃねえ、だれかが殺してから、火の中へ投げこんだのだ。焼け死んだのなら、死骸は瓦の下にあるのが本当だろう。ところで、この死骸は瓦の上にある」
といった。
聞いたほうは驚いて、出役の同心に耳うちした。調べてみると、果して顎十郎のいった通りだった。
富岡の親分が顎十郎の眼力を褒めると、顎十郎はてれくさそうに笑いながら、
「こりゃアおれの知慧じゃねえ、『雪寃録』という本に書いてあることです」
と、いった。
風魔
泉水にさざなみがたち、青葉の影がゆれる。
広縁のきわへ、むんずりと坐りこみ、膝のうえに青表紙の本をのせ、矢たてと懐紙箱をひきつけ、にが虫を噛みつぶしたような顔をして、しきりに灰吹きをたたきつけているのが、庄兵衛組の組頭、森川庄兵衛。
小さな髷節を薬罐頭のてっぺんにのせ、こんがら童子に渋を塗ったような因業な顔を獅子噛ませ、いまいったように、煙管をとり上げたり投げ出したり、腕を組んだりほぐしたり、見る眼にも、なかなか多忙をきわめるのである。
すこし離れたところに、きっぱりした顔だちの、十七八の美しい娘が、すんなりと坐っている。