Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.040 caratteri · 26 schermate
……また流れの模様もことごとく分明いたすであろう。もう、来着いたしたであろうから、さしつかえなくば、ここへ呼び入れるが……」
ようやく、返事があった。
「御無用と存じます」
甲斐守はキッとして、
「無用とは、なにゆえの?」
「それは、明日、見分いたします」
「しかし、今も申した通り……」
「御無用にねがいます」
と、にべもない。甲斐守は、むっとしたようすで、ちょっとの間おし黙っていたが、やがて、しいて顔色をやわらげ、
「……なにか存じよりのあることであろうから、無理にとは申さぬが、せめて、滋賀石庵にだけには逢っておくがよかろう。……どのような有様で水に落ちていたか、流れの方向、水藻のぐあいなども、あらかじめ承知しておったら、なにかにつけて便利であろうと思うが……」
「なにとぞ、それも、御無用にねがいます」
「なにか仔細があるのか?……無用、とだけではわからぬ」
藤波は蒼白んだ、険相な顔をゆっくりとあげると、
「それでは、たとえ、勝をとりましても、勝ったことになりません」
「異なことを申すの。戦場の駈けひきは、あらかじめ十分に謀るにある。北町奉行所とても、そのへん、ぬかりなく手をつくしているであろう。