Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.028 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

このそっけない男が、いったいどうしたというのか、きょうに限って、いやに親身なことをいう。ふだんを知っているひとが聞いたら、さぞおかしかろう。石口十兵衛は、まっとうに受け、この日ごろの労苦のせいか、ひどく落ちくぼんだ老いの目に、にわかに涙をみなぎらせながら、

「これが始めての御面識。唐突に推参いたしましたのみならず、重ねがさねの御無礼。年がいもなく、さまざまと狼狽えたさまをお目にかけましたにもかかわらず、お笑いもなく、お咎めもなく、およぶかぎり御加勢くださるとのお言葉、ありがたいとも、かたじけないとも、申そうにも早や……」

あとは涙声になって、そのままさしうつむく。さすがに大藩の家老たるだけあって、はた目にもそれと察しられる見識、器量。それが、あさましいまでに取りみだし、露地奥の貧乏長屋の古畳の上に両手をついて、肩をふるわせながら咽び泣いているさまは、いかにも哀れぶかい。

石口十兵衛は、やがて顔をあげ、

「仔細は次の通り。……先君、利与さまにはただひとりの御嫡子があって、源次郎さまと申しあげますが、御三歳の春、利与さまがみまかられましたので、直ちに相続を願いいで、翌年春、喪があけますと同時に、相続祈願のため、さきの家老相馬志津之助、伝役桑原萩之進、医者菊川露斎の三人がつきそい、矢田北口というところにある産土