Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.022 caratteri · 36 schermate
これだけじぶんの手に残った……」
「いや、それは困った」
「せっかく臨終の頼みもこんな始末になって、なんとも面目ないが、暗闇の出逢いで曲者どもの顔もよく見えず、取返すあてもないのだから、せめてなにかの足しに自分の手に残ったぶんだけを送るという文意……」
「なんとありました」
「……開いて見ると、短冊形の紙の後が切れ、『五』という一字だけが残っている。……お沢がわしに書き越すからは、言うまでもなく捨蔵さまのいられる所の名にちがいない。……漢字で三字ということだから、滋賀の五箇庄は言うまでもなく、五峰山から五郎潟、武蔵の五日市といたるところを訊ねて廻ったすえ、この下総の真間の奥に、五十槻という小さな村があるということを聞いたので、先の月の十五日にそこへ出かけて行って見たが、やはりそこにもおられない」
「ふむ、ふむ」
「わしの寿命は、この十月の戌の日の戌の刻につきることがわかっておるのじゃから、わしの力としては、もはや如何とも成しがたい。……幸いわしの命はまだ二十一日だけ残っているから、街道のほとりに坐って通りがかりの旅人の相貌を眺め、これと思う人間に後事を托そうと、それで、ここで断食をしていたというわけじゃ」