Classici giapponesi con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Leggi 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.022 caratteri · 36 schermate
目安箱というのは、歴代の将軍が民情を知る具にした訴状箱で、老中の褒貶、町奉行、目付、遠国の奉行の非義失政などの忌憚のない密告書が出てくる。これを本丸へ差しだすときは、老中の用部屋まで六人の目付が附添い、老中から用部屋坊主、時計の間坊主、側用取次というふうに順々に手渡しされ、将軍は人払いの上、首に掛けている守袋から目安箱の鍵を取りだして、手ずから箱をひらくという厳重なもの。濫にこの箱をあけたりすると、その罪、死にあたる。
それを、ちょいと持って来いという。
顎十郎、あまり物怖しないほうだが、これには、いくらかおどろいた。
世の中には、えらい女もいるものだと舌を巻きながら、トホンとお八重の顔を眺め、
「それを持って来りゃあいいんだね。……そんなことなら、わけはなさそうだ。……よっぽど重いかね」
「まあ、いやだ。箱なんかどうだっていいのよ。……箱の中にある手紙だけがほしいの」
「よし、わかった。……それで、その手紙をどこへ持って行くかね」
「あさっての六ツに、湯島天神の鐘撞堂の下まで持って行って下さい」
「心得申した」
「ほんとうにご親切ね」
「いや、それほどでもねえが……」