Classici giapponesi con furigana
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かぜ
風
壺井 栄
Leggi 風 (かぜ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 38.702 caratteri · 78 schermate
それをもって上京する。また、すってんてんになって帰る。そんなことしてたら、行李はいつのまにか八つになったんだな。もっとあったろう。置き逃げした下宿もあるからね――。」
「まあ、やっぱりいい家はちがうのね、わたしのうちだと、そんなことしてもらえないわ。」
「その方がいいんだよ。こんな恥っさらし、しなくていいもの。今になって驚いちゃったよ、ぼくも。何か入ってるのかと思って、大きいやつをあけたら、中に行李があるだろ。そいつをあけたら、また行李さ。」
大小の行李が入れ子になることで、下宿にいても彼は行李の数からの圧迫を忘れていたという。捨ててこようかとも思ったが、NやIもいたし、それよりも母のことを思いだすと、屑屋にも払いかねたと語った。
「そういうぼくなんだからな。あいそつかすなら、今だよ。」
「そうね。でもわたし、行李もってきたあなたって、やっぱりおもしろいと思うわ。あいそつかすの、待とう。」
その翌々日、茂緒の荷物もとどいた。これはまた新しい番外の柳行李とふとん包みだった。
「あら、たのまないのに、ふとんまできたわ。」
ひとりなのに、思わず歓声をあげながらも茂緒は、これをもらってあとが困りはしないかと、ひそかに案じた。