Classici giapponesi con furigana
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しょくま
食魔
岡本 かの子
Leggi 食魔 (しょくま) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.911 caratteri · 74 schermate
掃除をよくすること、本座敷は滅多に使わぬこと――。それゆえ、鼈四郎夫妻は次の間の六畳を常の住いに宛てているのであった。一昨年の秋、夫妻にこどもが生れると蛍雪は家が汚れるといって嫌な顔をした。
「ちっとばかりの宛がい扶持で、勝手な熱を吹く。いずれ一泡吹かしてやらなきゃ」
それかといって、急にさしたる工夫もない。そんなことを考えるほど眼の前をみじめなものに感じさすだけだった。
鼈四郎は舌打ちして、またもとのチャブ台へ首を振り向けた。懐手をして掌を宛てている胃拡張の胃が、鳩尾のあたりでぐうぐうと鳴った。
「うちの奴等、何を食ってやがったんだろう」
浅い皿の上から甘藷の煮ころばしが飯粒をつけて転げ出している。
「なんだ、いもを食ってやがる。貧弱な奴等だ」
鼈四郎は、軽蔑し切った顔をしたけれども、ふだん家族のものには廉価なものしか食べることを許さぬ彼は、家族が自分の掟通りにしていることに、いくらか気を取直したらしい。
「ふ、ふ、ふ、いもをどんな煮方をして食ってやがるだろう。一つ試してみてやれ」
彼は甘藷についてる飯粒を振り払い、ぱくんと開いた口の中へ抛り込んだ。それは案外上手に煮えていた。