Classici giapponesi con furigana
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がいこつのくろんぼ
骸骨の黒穂
夢野 久作
Leggi 骸骨の黒穂 (がいこつのくろんぼ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.160 caratteri · 28 schermate
5
部長室から飛出した銀次は、広間の事務室の卓子の上に飛上った。手に触れた硯箱を追い縋って来る小女めがけてタタキ付けると、書類を蹴散らしながら机の上を一足飛びに玄関へ出た。その腰に獅噛み付いた小女は、いつの間に奪い取ったものか銀次の匕首を、うしろ抱きにした銀次の肋骨の下へ深く刺し込んだまま、ズルズルと引擦られて行った。
「父サンの仇讐……丹波小僧……思い知ったか……丹波小僧……」
と叫び続けていた。そうして銀次と絡み合ったまま玄関の石段を真逆様に転がり落ちると、小女は独りでムックリと起き上って、頭から引っ冠せられた銀次の着物と帯をはね除けた。倒れた椅子を避け避け追いかけて来る警官を振り返って、擦り剥けた顔でニッコリと笑った。
それから血に染まった匕首と両手を、向家のペンペン草を生やした屋根の上の青空の方向に高く挙げて力一パイ叫んだ。悲痛な甲高い声で、
「……皆の衆……皆の衆すみまっせん。私はお花じゃが……もう私は帰られんけに……帰られんけに……」
と云ううちに、銀次の身体に腰をかけたまま、血染の匕首を両袖で捲いて、白い自分の首筋にズップリと突込んだ。