Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げかしつ

高野聖

泉 鏡花

Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate

Aozora Bunko

甲者は重ねて感嘆の声を発して、

「おもしろい! なるほど。浴衣の片袖がない! 天も……なんとやらで、なんとかして漏らさず……ですな」

弁者はこの訛言をおかしがりて、

「天網恢々疎にして漏らさずかい」

甲者は聞くより手を抗げて、

「それそれ、恢々、恢々、へえ、恢々でした」

乗り合いの過半はこの恢々に笑えり。

「そこで、こいつを拘引して調べると、これが出刃打ちの連中だ。ところがね、ちょうどその晩兼六園の席貸しな、六勝亭、あれの主翁は桐田という金満家の隠居だ。この夫婦とも、何者の仕業だか、いや、それは、実に残酷に害られたというね。亭主は鳩尾のところを突き洞される、女房は頭部に三箇所、肩に一箇所、左の乳の下を刳られて、僵れていたその手に、男の片袖を掴んでいたのだ」

車中声なく、人は固唾を嚥みて、その心を寒うせり。まさにこれ弁者得意の時。

「証拠になろうという物はそればかりではない。死骸のかたわらに出刃庖丁が捨ててあった。柄の所に片仮名のテの字の焼き印のある、これを調べると、出刃打ちの用っていた道具だ。それに今の片袖がそいつの浴衣に差違ないので、まず犯罪人はこいつとだれも目を着けたさ」