Classici giapponesi con furigana
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げかしつ
高野聖
泉 鏡花
Leggi 高野聖 (げかしつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.264 caratteri · 104 schermate
渠は弁者を睨して、
「職分だって、あなた、出刃打ちなんぞの肩を持つてえことがあるもんですか。敵手は女じゃありませんか。かわいそうに。私なら弁護を頼まれたってなんだって管やしません。おまえが悪い、ありていに白状しな、と出刃打ちの野郎を極め付けてやりまさあ」
渠の鼻息はすこぶる暴らかなりき。
「そんな弁護士をだれが頼むものか」
と弁者は仰ぎて笑えり。乗り合いは、威儀ある紳士とその老母を除きて、ことごとく大笑せり。笑い寝むころ馬車は石動に着きぬ。車を下らんとて弁者は席を起てり。甲と乙とは渠に向かいて慇懃に一揖して、
「おかげでおもしろうございました」
「どうも旦那ありがとう存じました」
弁者は得々として、
「おまえさんがたも間があったら、公判を行ってごらんなさい」
「こりゃ芝居よりおもしろいでございましょう」
乗客は忙々下車して、思い思いに別れぬ。最後に威儀ある紳士はその母の手を執りて扶け下ろしつつ、
「あぶのうございますよ。はい、これからは腕車でございます」
渠らの入りたる建場の茶屋の入り口に、馬車会社の老いたる役員は佇めり。渠は何気なく紳士の顔を見たりしが、にわかにわれを忘れてその瞳を凝らせり。