Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

ヤイヤイこのおれを誰だと思う」

相手が女と侮ってか、人もあろうに、今評判喧嘩渡世の大姐御、御意見無用いのち不知の知らずのお絃ちゃんにたんかを切ろうというのだから、さてはこの戸塚の三公、神田へ来てお絃の顔を知らないところを見ると、こいつ、精々長庵の下廻りをつとめるくらいが関の山で、大きなことをいっても、やくざ仲間では、どうやらモグリらしい。

そこはやはり、貫禄というものは争えない。お絃は、クスクス笑い出していた。

「お前の名なんか、聞きたかないよ。お帰りったらお帰り」あっさりしたもので、犬でも追い払うような手つきをする。「サ、お帰りよ」

「戯けるなッ! 兄が妹をつれて行くに何の文句があるんでエ。帰るには帰るが、妹をつれて帰るんだ。来いッ!」

三次が、大声を揚げて呶鳴り散らしていると、おもての戸が開け放しになっていて、家内が見える。通りかかった人がふと覗き込んで、

「御めんなさい。何ですね、この夜ふけに大きな声をして」

見ると、お絃は知らないが、お妙は、父壁辰の出入り先、下谷長者町の筆幸の店で度たび見かけて覚えがある。それに、しつこく自分をつけ廻して困らせられている筆幸の若旦那幸吉からも、いつか聞かされたことのある、麹町平河町とかのお町医、村井長庵という偉い先生――お妙は、娘ごころに長庵を偉い先生と思いこんでいる