Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぞう

魔像

林 不忘

Leggi 魔像 (まぞう) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 131.494 caratteri · 260 schermate

Aozora Bunko

「壁辰はここだが、今頃、何誰ですい」

何ごころなく、雨の奥をすかし見るように覗いたとき、そこの路地のかげから、一度に雨に濡れた御用提灯の集団が、押し出すように現われて来た。物々しい捕手の一隊だ。四、五十人――もいたろうか。他にもぐるりとこの家をとりまいているらしく、一同落ち着き払った様子で、八丁堀の与力で満谷剣之助という、名を聞くとばかに強そうな人が、金山寺屋の音松という眼明しと、ほか五、六人の重立った御用の者をつれて、どやどやとはいりこんで来た。

先方も落ちついていたが、壁辰は、より以上におちついていた。彼は、ちょっとうしろを振り返って、素早くお妙に合図した。お妙も、その非常に、決してとり乱すようなことはなかった。しずかに茶の間へ行って、喬之助の前にすわった。喬之助は、もう知っていた。瞬間、血走った眼が部屋の中を見廻したが、どうせこの家の周囲は十重二十重であろうと思うと、かれは、起とうとした膝を鎮めて、眼のまえのお妙を見た。お妙は、きちんとすわって、喬之助の眼を見つめていた。

「参りました。誰が訴人をしたのか、わたし達にもわかりませんでございます。