Classici giapponesi con furigana
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ますのたまご
鱒の卵
佐藤 垢石
Leggi 鱒の卵 (ますのたまご) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1674 caratteri · 4 schermate
それは、寒流が銚子地先で遠く太平洋の沖合はるかに流れだしてしまい、房総半島方面には冷たい潮が赴かぬため、温かい潮を好まぬ鱒はそれを避けて沖合に泳いでいくからである。
従って、昔から房総半島から西で、太平洋へ注ぐ川では、鱒の姿を見ないのだ。
こんな歴史のある利根川へ、いまは天然鱒の姿を見ないのは、なさけないことだ。
話は前に戻って、天然鱒が渓流で産卵をはじめると、その産卵場の下流へ、たくさんの山女魚やはやが集まってくる。それは、鱒が産卵するとき、卵がこぼれて流れてくるのを待っているのである。鱒は産卵が終わると、雄は放精しておいて、卵に砂をかけ外敵に荒らされぬように防ぐのであるが、鱒の親が去ると山女魚もはやも、その産卵場の砂をはねのけて卵を盗み食うのである。
こんなわけで、秋がきたころ鱒の餌を用いると、山女魚もはやも素敵によく釣れた。
私は、水戸に遊び住んでいたころ、漬物屋の店頭に、塩漬けの鱒の卵の入った樽を発見した。つまりイクラである。そのとき、ふと鱒の卵で山女魚とはやを釣った故郷の渓流を想いだしたのである。那珂川にいるはやも、鱒の卵を知らぬことはあるまいと考えたのである。