Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ますのはなし
鱒の話
今野 大力
Leggi 鱒の話 (ますのはなし) di 今野 大力 (こんのだいりき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 504 caratteri · 2 schermate
濃緑のあかだもの木の下にて
三十を越えた
四十あまりの人の話をきく
二十余年北国の地に流浪して
絶えず山水に親しみながら
生活を続けて来た人の話である
面は陽に赫けている
ひげはおとなしくあご一面に
ぼうぼうと生えている
アイヌとも妥協して
或は独木舟に乗り激流をさか上った
事もあると言う
熊狩りに魚捕りに
野に山に宿した事もあると言う
長い半生にありし物語の
さも面白そうな話ぶり
ちょうど今頃である
雌と雄の二疋の鱒が
だんだんと小川をさか上って来る
彼らは卵を生む為めに
遠い川下から来て
日当りのいい浅瀬に
雄が尻尾をもて砂を掘り
雌に卵を生ませ
自分の白子をふきかけて
砂と共によくからみ
そして元の如くに装いて
雄は再び川下へ帰ってゆくけれども
雌はそれを最後に
最早すべてを失って
死につつ浪のまにまに
流れてゆくと
そうして二疋の鱒は
卵を生む為めに命を懸けて
清い流れを求めつつ
上下している
自分らは親しくそれを見て
再び彼らを捕る事が出来なかったと
やさしいあたたかい内地人の性格で
その人は語った
ああ涙ぐましい話ではないか
愛のために生命のために
殉ずる彼の魚達の行いを
人の心として見るとき