Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「…………」
殺してみやがれ! わたしだって。
お米はこう覚悟をして、その瞳をそらさなかった。
弥蔵をこしらえていた手をつン出して、紐の宅助は、ニヤリと面相を変えながら、
「エ。お米の御方――」
と、ポンと背中をひとつ叩いた。
「なぜ逃げねえのよ、逃げたらいいじゃあねえか!」
食い物と侍にかかると、カラ意気地のない宅助だが、お米の前に立つとズッと冴えてくるのは奇妙だ。相手の上手にのしかかってゆく図太さや、悪党らしい余裕さえついてくる。
女と思って、先に呑んでかかるせいもあろうが、ひとつはこの宅助、啓之助がお米を知ると一緒に手がけているので、充分、コツというものを心得ている。
「エ、おい」
と、背中を叩いたのが、そのコツらしい。遺恨は遺恨だが、殺してしまえば玉なしだ。女に逃げられた女衒が、たえず女を殺していた日には商売にならない、という道理から宅助らしい我慢なのだ。
「どうしましたえ、お米さん。たいそうすましているじゃねえか。ちょっと、久しぶりだから、きまりが悪くなったとおっしゃいますか。そうよ、天満の河岸きりでお別れでござんしたね。ハイ、そのせつは、どうもいろいろお世話様で……」