Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
「それは、ぜひもない辛抱ではないか」
「ですから……あの今夜だけ、ここへ泊めて下さいませ」
「明日の支度もあり、何かと忙しい場合、悠々と話などしている間はない」
「でも、もう遅くなってしまったのですもの」
「いや、そちの乗って来た駕屋の声が、まだ表のほうでしている様子。早くそれで帰ったがよい」
素げなく立ち上がったが、なお念を押して、
「ことにこの家のまわりにも、宵のうちから原士らしい者がウロついている。万一そちの不覚から、これまでの手筈を破るような場合には、もうふたたびこうして会う折はないぞ」
と、少し語気を強く言った。
お米はしかたがなく、帰りそうにした。それを見て弦之丞はトントントンと梯子を降り、裏口から外の闇を覗いて見る。
水口から少し離れた所に、苔のさびた石井戸があり、その向うに暗い笹藪がある。
縞の着物をきたひとりの男が、こっちへ手招きをしてみせた。
「新吉か」
と、弦之丞が闇を透かしてゆくと、
「へい」
両方から影が寄り合った。
「何か明夜のことで? ……」
「さようでございます。いよいよ雲行きがあぶなくなりましたので、それでお家様のご注意から、ちょっとあなた様のお耳へ」