Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
さあ、ご遠慮なく、私について――」
ひとつ、ひとつ、前栽の飛び石をさぐりながら、弦之丞とお綱とは黙々としておぼろな影を新吉の後に添わせてゆく。
と。
拭き艶の流れている檜縁に、
「新吉かい?」
とお久良の影。
案じていたらしく立っていた。
「はい、お連れ申してまいりました」
「来たのかえ? 金五郎さんが」
「あまりご無沙汰しすぎているので、どうもしきいが高いとおっしゃってばかりいるので」
「そんなことがあるもんじゃない……。あの……」何か言いよどんでいたが、
「まあ、とにかく、奥へね」
「そちらのお方も」
とお綱を見た。
さすがに少し動悸をうちながら、お綱は編笠の紐を解く。
「では……」
と言葉すくなく、弦之丞は頭巾のまま、お久良について、中廊下から奥まった寮の一間へ。
裾を下ろして、やや急かれ気味に、お綱の入ったのと一緒に、その編笠を持ってやりながら、手代の新吉も同じ奥へ姿をかき消す……。
――で、あとは人影もない。ただ前栽の木々に、蛍のひそむような静寂が残っていた。
「眠いのか! 啓之助」
西側の数寄屋である。
やはり同じ前栽の風致を前にした小座敷。
そこでこういう声がした。