Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
夜の潮風を察してひっかけてきた渋合羽の前をはだけ、二本の毛脛を立てながら、そこで、スパリと一服吸っていると、向うの屋台うどんの床几に、編笠をかぶったひとりの浪士と、ふたりの子供の影が見える。
むッつりとしたその浪人者は、誰か人待ち顔に時折笠をあたりへめぐらし、広い闇を見廻しているふうだったが、子供のほうはうどんの器を吹いて、チューチューと音をさせながらすすっていた。それがいかにも美味そうなので、宅助も急に食慾をそそられ、船待の小屋から居なりに声をかけて、
「おい、うどん屋、こっちへもひとつ頼みてえな」
と煙管をハタいた。
「へい」
というと、間もなく、剥げた盆の上にお誂えが乗ってくる。莨入れの底をさぐって、
「いくらだい?」
「十二文です」
ザラリと銭を盆へのせてうどんを取る。
「ありがとうぞんじます」
「父さん、ちょっと聞きてえんだが」
「へい」
「お前は、夕方からここにいたのかい」
「船が出るのを当てこみに、明るいうちから屋台を曳いてまいりましたんで」
「売れたろうな、さだめし」
と、箸でうどんを上げながら――
「なかなか美味えもの」
「はい、お蔭様で、八軒家やこの辺では、かなりよく売れますんで」