Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

「あっ……」

と支える手の先に、何か? 温い液体がタラタラと伝わってきたので、よくよく目をこらしてみると、宅助の胸の脇、ちょうど肋骨の下の辺に、キラッと光る物が突き抜けている。

わずかに見えたのだが、まぎれもない、小柄か短刀の切っ尖。

「…………」

お米は、キャッという悲鳴も立て得なかった。

喪心したようになって、ふわりと、宅助の体を離した。

そして、歯の根のわななきをこらえながら、懸命に、腰を立てようとした。

すると……。

ギイと蝶番いの鳴る音がして、後ろのつづらの蓋がひとりでに口を開いたかと思うと、その中から肩を起こした紫紺頭巾の人影。

「お米……」

「…………」

「お米」

しずかな声で呼びとめる。

お米は一念に歩こうとしていたが、どうしても前へ体が運べなかった。

足に釘でも打たれたように、ワナワナとすくみ立ちにふるえているばかりで――。

いつのまにか左の袂が、もう一つのつづらの口に噛まれている。

と、うしろから伸びた腕が、

「待て」

と襟元へ触ったので、かの女は今が最期のように、思わず声をしぼって、

「ひイ――ッ」と地べたへうッ伏せになった。その途端。