Classici giapponesi con furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate
その、茫とみはった目の前には、ひとりの美女が立っていた。艶とはいえないがすきとおる水のような美しさ、白い行衣を着た肌の白い黒髪の美女である。
「オオ、お綱さん!」
大勘は源次へ目くばせした。源次は縛めを切られた腕をさすりながら、あたりを見廻してかがまり込む。
「――弦之丞様と御一緒に、どこにおいででございました」
「ここで待ちあわすという約束なので、宵から上の森の中に、お前さんの跫音を待っていました」
「あ、そのうちにこんな手違い?」
「源次が捕まったのも知ってはいたが、お前さんが来てからの思案と、森の蔭で心配しながら、息を殺しておりましたのさ」
弦之丞と同行同衣の遍路にやつした見返りお綱。今――土岐鉄馬のうしろへよって、浴びせつけた新藤五の小脇差をさげている。
それはまだ大黒宗理の手で研がれてきたばかりの刀、斬ってもその切ッ尖に、口紅ほどの血も止めていない。
「ここにいては海部の捕手が、また押し返してくるにきまっているから、お綱さんは、源次に道案内をさせて、ここの裏山を抜けて、赤河内へお逃げなさい。あっしは、捕手に追われて行った弦之丞様の安否を見届けて行きます」