Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

Leggi 鳴門秘帖(三) (なるとひちょう) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 261.216 caratteri · 521 schermate

Aozora Bunko

といった。

「あっ……」孫兵衛は、ズバリと気構えを割られて、思わず、見えぬ闇にムダな目をみはった。

「世阿弥! てめえはどうしておれの氏素姓を知っているのか」

「知っておるとも、知っているわけがあるのだ! 孫兵衛、お前もよく思いだしてみるがいい」

「思いだせ……ウーム、不思議だなあ……何しろそちの面がまるで見えない」

「もう一昔も以前のことだから、こっちの顔が見えたにしろ、或いは思いだされまい。わしも、わしを殺しに来た人間の前で、そんなことを思い浮かぶ筈はなかったが、フトお前の頭巾を見て思いだされた、その、じゅうや頭巾を見て」

「な……なンだって……」

頭巾といわれて、孫兵衛の声は意気地なくみだれてきた。

外の光線で見たなら、面貌まッ蒼に変っていたかもしれぬ。

世阿弥には、ありありとその態が見て取れた。

「因縁だな……」

かれはこう嘆じた。

「お前がおれを殺しに来る……まさか川島にいたあの孫兵衛が、わしを殺しに来ようとは……、ウウム面白い、冷やかに生死を超えて人の世の流転を観じれば、おれがお前に殺されるのも面白い」

「とすると、てめえはこの山牢へ捕まってくる前に、川島の村にも忍んでいたことがあるんだな」