Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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とびとかきととり

鳶と柿と鶏

豊島 与志雄

Leggi 鳶と柿と鶏 (とびとかきととり) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.493 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

「眺めてる方がいいじゃないか。」

「ええ。」

「捕らない方がいいじゃないか。」

「ええ、捕らないでも、よいのです。」

わざわざ穽を仕掛けたというのに、甚だ頼りない返事だった。

二羽の鳶はいつまでも舞っていた。その舞い方は全く蒼空という感じだった。宙にふわりと浮いて而も翔ってるからであろうが、やがて一羽が、ゆるく羽ばたきだしたと見るまに、高く高く、蒼空のうちに昇ってゆき、他の一羽もそれに随い、山の彼方に消えていった。

「先生、柿をたべにいきましょう。」

鳶のあとを見送ってぼんやりしてる吉村へ、李はふいに呼びかけて、立上って歩きだした。それから声を低めた。

「鳶のこと、上山さんには、黙っといて下さい。」

「なぜだい。」

「びっくりさしてやりたいんです。」

捕れるものかと吉村は思ったが、李の言葉をそのまま取って、微笑ましい気持になった。そして君枝のところまでついて来た。

君枝の庭には、裏口に近い一隅に、黒い鶏が二羽飼ってあった。植木屋が黒い鶏の卵は特別に病人によいといって、小屋から鶏まで世話してくれたのだとか、君枝は云っていたが、それが、シャモの雑種なので、吉村は君枝に対するのと同じように親しみが持てない気持だった。