Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Leggi 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) di 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 127.675 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

思えば遠い遠い昔です。私どもが幼くて向島に住んでいた頃、土手の桜の花の盛りに、やっと歩かれるようになった弟の手を引いて、お母様たちともよくその辺を散歩したものでした。その頃の隅田川には花見船が静かに往き来していて、花びらがちらちらと川の水に散りかかっていたのでした。並木の桜の散るのを見て、その頃がなつかしく思出されました。

*

雪の日に早くかへれとわれいひぬ

つひのわかれと知るよしもなく

わが涙たゞしづくすれぬかづきて

のごひもあへず香たてまつる

かひなしと知りつゝその名一声は

呼ばであられぬわれなりしかな

なき人をきのふもけふも訪ふ家の

庭の白梅ちることしきり

羨ましかの世に行きてむつまじく

父母兄達とかたりますらん

茶羽二重大きく白き菊の紋

兄のかたみをよみの晴著に

人の世のはかなさ見せてゆく道の

並木のさくら雪とちりかふ

はや十日かすかにちりの積もりたり

君が手ふれしうづたかきふみ

親はらからみなつぎつぎにさきだちて

ひとりのこりぬ七十路の身の

祖父

森の家は、石州津和野の城主亀井家に代々仕えた典医でした。