Classici giapponesi con furigana
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こうのすにょうぼう
鴻ノ巣女房
矢田 津世子
Leggi 鴻ノ巣女房 (こうのすにょうぼう) di 矢田 津世子 (やだつせこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.884 caratteri · 24 schermate
この小部屋いっぱいに床をしいて、身を横たえたいっときは、ぎんにとってはまったく極楽の有難さである。胸に手を組み、奥様口ぐせの念仏を聞きおぼえに唱えながら、いつのまにか快い眠りに誘われる。夜中にむっくりと起き出して、暗がりをきょろきょろ見まわすことがよくあった。夢だったのかと、うっとりとした心地で、やがてまた、しずかな眠りに入る。
まったく不思議な話だが、長い年月、ぎんにはきまってみる一つの夢があった。広い立派な西洋間である。壁には大きな額がかかっている。綺麗な飾り椅子があちこちに置いてある。高い大きな窓がいくつもいくつもあって、それにはみんな真っ白いレースのカーテンがかかっている。小模様の織目の細かい上等品である。ふんわりと揺れはためく。裳裾の房がパタパタと鳴る。揺れるカーテンにコスモスの花が咲いている。淡紅い今にも消えそうな花が、白い花むらの中にぽつぽつと咲いている。背中の赤ん坊がなかなか泣きやまない。まあるいおしりが下って、おぶい紐が肩に食いこんで、重ったるい。あやしながらコスモスの花の中を歩いて行く。
行っても行っても花ばかりである。花の波がゆったりゆったりと揺れる。