Classici giapponesi con furigana
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まど
鷹野つぎ――人と文学
鷹野 つぎ
Leggi 鷹野つぎ――人と文学 (まど) di 鷹野 つぎ (たかのつぎ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 21.840 caratteri · 43 schermate
その後母子の月日が尽きて、私一人となった今では、小谷さんは今こそ私が道を聴くにまたとない時と考えたものか、部厚い聖書を再び膝の上に繰り展げて見せる日が多くなった。
けれど私は心にもないことを云っては、余計いけないと思い、ついぞ読んで下さいとは頼まなかった。私には前云ったように窓をむいてるたのしみが、無上に思われて来た時であったから、この気持を抂げることが第一苦しかった。
「私が窓に向いて黙っていると、苦しんでいるように見えますか」
私は小谷さんにたずねてみた。
小谷さんはこの問いを待っていたように、丸椅子をすすめて、
「そうなんですの、私にはお苦しみになっているとばかり見えます。それにここでの御不幸のほかにも、いろいろまだおありでしょうから」
それには答えずにいたが、こうした会話の途切れには小谷さんは、どこか疑わしそうに私から身を引いて、眼ばかり向けているように思われた。
私はもっと打解けて、もっと身近かな話でもしたかった。売物の話とか、買物の話とか、そういうことでもよかった。
だが小谷さんには、二日か三日おきに、食物や花など持ってたずねて来る私の夫を見ていたから、買物や食物の話は余計であった。