Classici giapponesi con furigana
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こうとう
黄灯
田中 貢太郎
Leggi 黄灯 (こうとう) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.262 caratteri · 21 schermate
女房は寒そうにびしょぬれの傘の頭を掴んで入って来たが、蒲団をはね除けて半身を起した主翁を見つけると、「ほんとに恐がりねえ、恥かしくはないの」
「ばか、何が恐いのだ、飯の給仕をしてくれるものがねえから、待ってたんだい」
主翁は女房に悟られまいと思って、平気を装うて行火を出てもとの処へ坐った。
「恐くなけりゃ、何故一人でさっさと飯をしまわないの、何時でも食べられるようにしてあるじゃないか」
女房は暗い方の棚へ岡持を置きに往った。
「主翁が一人で、飯なんか盛る奴があるかい」
「もう、外へ出る用事が無くなったと思って、急にえらくなったね」女房は小さな縁側をあがりながら、主翁をおどしてやる気になった。「でも、お前さんをやらなくってよかったよ、私も恐かったけれども、お前さんだったら、どんなことになったか判らなかったよ」
「な、なんだ」主翁は顔色を変えた。
「厭なものがね」女房は恐そうな顔をして長火鉢の食卓の間を通り、主翁の引き剥いであった蒲団を直して行火に入りながら、「見たのですよ、ただ人の噂だと思っていたが、ほんとに見たのですよ」
「なんだ、なんだ」
「帰りに、あすこの曲り角の電信柱の処まで来ると、青い鬼火がふわふわと飛んで来て、ぶっつかったのですよ」