Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おうごんのまくら

黄金の枕

田中 貢太郎

Leggi 黄金の枕 (おうごんのまくら) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3073 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

主婦は力ない声で言った。

「お別れするについては、私の誠を現わすためにさしあげたい物がございます」

主婦は榻の後ろの小箱へ手をやって、その中から黄金の枕を出した。

「これをさしあげます、お持ちになってください」

こう言って主婦はまた泣いた。

道度は初めに世話になった女に見送られて門を出た。そして、十足ばかり歩いて後ろを振り返った。庁館がまえの家はなくなって、荊棘の伸びはびこった古塚があった。道度は驚いてあたふたと駈けだした。暫く走って気が注いて懐中に手をやった。黄金の枕は依然としてあった。

道度は秦の国へ往った。窮乏の極に達した彼は黄金の枕を売って金を得ようと思った。彼は市場の方へ歩いて往った。市場には数多の人が集まってきて交易をやっていた。道度は金のありそうな人を見かけるとその枕を出して見せた。

「これを買ってくれないか」

貧しい書生の持物としては黄金の枕はそぐわなかった。数人の者に見せても何人も買おうと言う者がなかった。

「これを買わないか、安く売ってもいい」

道度はまた往き会った男にその枕を見せた。

牛に曳かせた綺麗な車がむこうの方からきた。車の周囲には男や女の供人が随いていた。