Classici giapponesi con furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Leggi 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.792 caratteri · 82 schermate
「どんな人間に?」
「それがはっきり分らないのでございますよ。若い人のようだったり、年寄のようだったり、この人といい切れませんの」
「じゃ、つまり薬を貰いに行く往き帰りに、君をつけている人がある。然し、その都度違った人間だというんだね」
「えゝ、一度こんな事がありました。ずっと以前なんですけれども、お薬を貰って帰りがけに、買物に寄りまして、その店へ鳥渡薬を入れた風呂敷を置きましたの。そうしたら、鳥渡横向いている間に、それを取り上げた人がありますの。私吃驚いたしまして、あゝ、それは私のでございますといいますと、その人は、之は失礼、風呂敷が同じだったもので間違いました、といって、私に渡しながら、でも大切なものはこんな所に置かない方がようございますね、と申しました」
「うむ」
「黒眼鏡を掛けた方で、黒眼鏡の他には之といって変った所はないのですけれども、私はどうしたものかとても嫌な気持になりまして、頭から水を浴せられたようにゾッといたしました。それ以来、薬包は絶対に手放さないようにして、帰りにも、なるべく寄り道をしないようにいたしておりました」
「うむ」
野村にはすっかり分ったような気がした。