Classici giapponesi con furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Leggi 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) di 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.792 caratteri · 82 schermate
野村の方で好感情を持っていなかったので、重武の方でも、表面は兎に角、腹では余り野村を喜んでいないらしいのだ。そんな事で態と通知しないに違いない。
(二川家も、今後はあの叔父に自由にされるのかな)
と思うと、野村は一層淋しい気持になった。重明にもっと力になってやらなかった事が、益々後悔されるのだった。
通知は貰わなくても、夕刊の記事を見た上は黙っている訳には行かなかった。叔父がもし自分を邪魔にしているのなら押しかけて行くのは気が進まなかったが、といって知らん顔はしていられないので、野村は支度を始めた。
そこへ恰度外出中だった母が帰って来たので、夕刊を見せると、母は、
「まア」といって吃驚しながら、「でも、知らせて来ないのは変ね」
といって、首を傾けた。
家を出て円タクを呼留めて、車中の人になると、野村の頭には、之という理由もなく、幼い時の事が思い浮んで来た。
最初に二川の丸いクル/\とした色白の幼な顔が浮び上って来た。それは母の朝子には似ないが、父の重行にそっくりだといわれていた。
それは後から聞いた話によって、記憶を強化したのだろうが、父子爵が眼の中に入れても痛くないという風に、じっと眼尻を下げて、重明がヨチ/\歩くのを見入っている姿が、朧ろに野村の脳底に映じた。