Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
廻転琴(反対の方向に動く二つの円筒を廻転せしめ、その上にある無数の棘をもって、梯状に並んでいる音鋼を弾く自動楽器)が弾き出した優雅な音色が、この沈鬱な鬼気を破ったとみえて、再び一同の耳に、あの引き摺るように重たげな音響が入ってきた。
「灯を※(感嘆符二つ、1-8-75)」熊城は吾に返ったかのごとくに呶鳴った。真斎の手で壁の開閉器が捻られると、はたして法水の神測が適中していた。と云うのは、奥の長櫃の上で、津多子夫人は生死を四人の賽の目に賭けて、両手を胸の上で組み、長々と横たわっているのであった。その端正な美しさは、とうてい陶器で作った、ベアトリチェの死像と云うほかにないであろう。しかし、引き摺るような鈍い音響は、まさに、津多子夫人が横たわっている附近から発せられてくる。薄気味悪い地動のような鼾声、それも病的な喘鳴でも交っているかのような……。ああ、法水が死体と推測した津多子夫人は、未だに生動を続けているではないか。皮膚はまったく活色を失い、体温は死温に近いほどに低下しているけれども、微かに呼吸を続け、微弱ながらも心音が打っている。そして、顔だけを除いて、全身を木乃伊のように毛布で巻き付けられているのだった。