Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
と博士の驚愕の色が、たちまち憎悪に変った。そして、恥もなく、見え透いた術策を弄しているかの相手を、しげしげ瞶めていたが、ふと心中に何やら閃いたらしく、静かに莨を置いて云った。
「それでは、遺言書を作成した当時の状況をお聴かせして、貴方から、そういう妄信を去らせてもらいましょう。……その日はたしか、昨年の三月十二日だったと思いますが、突然先主が儂を呼びつけたので何かと思うと、今日偶然思い立ったので、ここで遺言書を作成すると申されたのでした。そして、儂と二人で書斎に入って、儂は隔った椅子の向うから、先主がしきりに草案を認めているのを眺めておりました。それは、オクターヴォ判型の書簡紙に二枚ほどのものでしたが、認め終ると、その上に金粉を撒いて、さらに廻転封輪で捺しました。たぶん貴方は、あの方がいっさいを旧制度的に扱うのを――つまり、その復古趣味を御存じでしょうな。ところで、それが済むと、その二葉を金庫の抽斗の中に蔵めて、当夜は室の内外に厳重な張番を立て、その発表を翌日行うことになりました。ところが、翌朝になると、ズラリと家族を並べた前で、先主はなんと思ったか、いきなりその中の一葉を破ってしまったのです。