Classici giapponesi con furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Leggi 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 296.741 caratteri · 584 schermate
焔の揺ぎから起る微妙な気動が、一番不安定な位置にある数珠玉の埃を、ほんの微かずつ落していったのだよ。ねえ支倉君、じいっと耳を澄ましていると、なんだか茶立蟲のような、美しい鑿の音が聞えてくるようじゃないか。ときに、こういうヴェルレーヌの詩が……」
「なるほど」と検事は慌てて遮って、「けれども、その二年の歳月が、昨夜一夜を証明するものとは云われまい」
とさっそくに法水は、熊城を振り向いて、「たぶん君は、コプト織の下を調べなかったろう」
「だいたい、何がそんな下に?」熊城は眼を円くして叫んだ。
「ところが、死点と云えるものは、けっして網膜の上や、音響学ばかりにじゃないからね。フリーマンは織目の隙から、特殊な貝殻粉を潜り込ましている」と法水が静かに敷物を巻いてゆくと、そこの床には垂直からは見えないけれども、切嵌の車輪模様の数がふえるにつれて、微かに異様な跡が現われてきた。その色大理石と櫨木の縞目の上に残されているものは、まさしく水で印した跡だった。全体が長さ二尺ばかりの小判形で、ぼうっとした塊状であるが、仔細に見ると、周囲は無数の点で囲まれていて、その中に、様々な形をした線や点が群集していた。