Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate

Aozora Bunko

高慢な虫眼鏡を引込めながら、行儀悪くほとんど匍匐になって、頬杖を突いている滝太郎の顔を瞻って、心から、

「あなたの目は恐いのね。」と極めて真面目にしみじみといった。

勇美子は年紀も二ツばかり上である。去年父母に従うてこの地に来たが、富山より、むしろ東京に、東京よりむしろ外国に、多く年月を経た。父は前に仏蘭西の公使館づきであったから、勇美子は母とともに巴里に住んで、九ツの時から八年有余、教育も先方で受けた、その知識と経験とをもて、何等かこの貴公子に見所があったのであろう、滝太郎といえばかねてより。……

六

「よく見着けて採って来てねえ、それでは私に下さるんですか、頂いておいても宜しいの。」

「だから難有うッて言いねえてば、はじめから分ってら。」と滝太郎は有為顔で嬉しそう。

「いいえ、本当に結構でございます。」

勇美子はこういって、猶予って四辺を見たが、手をその頬の辺へ齎らして唇を指に触れて、嫣然として微笑むと斉しく、指環を抜き取った。玉の透通って紅い、金色の燦たるのをつッと出して、

「千破矢さん、お礼をするわ。」

頤杖した縁側の目の前に、しかき贈物を置いて、別に意にも留めない風で、滝太郎はモウセンゴケを載せた手巾の先を――ここに耳を引張るべき猟犬も居ないから――摘んでは引きながら、片足は沓脱を踏まえたまま