Classici giapponesi con furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Leggi 黒百合 (くろゆり) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 78.148 caratteri · 154 schermate
」
「ああ、ただもう家名を傷けないようにって、耳懊く言って聞かせるのよ。堅い奴だが、おいら嫌いじゃあねえ。」
「ふむ、それでお前さん、盗賊をすりゃ世話は無いじゃあないか。」と言って、心ありげに淋しい笑を含んだのである。
「おいら何もこれを盗って、儲けようというんじゃあなし、ただ遊んで楽むんだあな。犬猫を殺すのも狩をするのも同一こッた。何、知れりゃ華族だ、無断に品物を取って来た、代価は幾干だ、好な程払ってやるまでの事じゃあねえか。」
「あんな気だから納まらないよ。ほんとに私もあの時分に心得違いをしていたから、見処のあるお前さん、立派な悪党に仕立ててみようと、そう思ったんだがね。滝さんお聞き、蛇がその累々した鱗を立てるのを見ると気味が悪いだろう、何さ、恐くはないまでも、可い心持はしないもんだ。蟻でも蠅でも、あれがお前、万と千と固っていてみな、厭なもんだ。松の皮でもこう重り重りして堆いのを見るとね、あんまり難有いもんじゃあない、景色の可い樹立でも、あんまり茂ると物凄いさ。私ゃもう疾にからそこへ気が着いて厭になって、今じゃ堅気になっているよ。ね、お前さん、厭な姿は、蛇が自分でも可い心持じゃあなかろうではないか。