Classici giapponesi con furigana
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くろとかげ
黒蜥蜴
江戸川 乱歩
Leggi 黒蜥蜴 (くろとかげ) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 107.633 caratteri · 215 schermate
すると、ああ、はたして、椅子の中から、陰にこもった声が答えたのだ。
「僕は影法師のように、君の身辺をはなれないのだよ。君の作ったからくり仕掛けが、大へん役に立ったぜ」
地の底からのように、或いは壁の中からのように響いてくる。その陰気な声が、黒衣婦人を思わず身ぶるいさせた。
「明智さん、怖くはないのですか。ここはあたしの味方ばかりですよ。警察の手のとどかない海の上ですよ。怖くはないのですか」
「怖がっているのは、君の方じゃないのかい……フフフフフフフ」
まあ、なんて気味のわるい笑い方をするんだろう。椅子から出ようともしないで、平気でいる。奥底の知れない男だ。
「怖くはないけど、感心しているのよ。あなたに、どうしてこの船がわかりましたの」
「船は知らなかったけれど、君のそばにくっついていたら、自然とここへくることになったのだよ」
「あたしのそばに? わかりませんわ」
「通天閣の上から君に尾行することのできた男は、たった一人しかなかったはずだぜ」
「まあ、そうだったの? すてきだわ。ほめてあげますわ。売店の主人が明智小五郎だったのね。あたし、なんて間抜けだったのでしょう。