Classici giapponesi con furigana
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どんてん
21世紀の日本人へ 永井荷風
永井 荷風
Leggi 21世紀の日本人へ 永井荷風 (どんてん) di 永井 荷風 (ながいかふう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 24.356 caratteri · 51 schermate
今われ望みを抱かざれば
また幻のかげを見ず。
吹け、吹けよ、夕風。
蘆の枯葉枯茎枯穂を吹け。
枯れしもの色なきもの
死せしもの皆一さいに
驚きさわぐ響にまぎれ
われはひとり泣かむとす。
暮れ行く河原の
冷き石の上に。
○
蓮の葉の枯れたのは日本画家の好んで描くところである。水の中に倒れて、その葉もすでに朽ち、折れた茎の乱れ立つ中に空になった蓮の実のところどころに残っている形には枯淡の趣が味い得られるからであろう。冬枯の不忍池を思う時、わたくしは鴎外先生が小説雁の末節に用いられた叙景の筆法を想い起さねばならない。文例はここに掲げない。読者宜しくその書についてこれを見よ。
○
古本を買ったり、虫干をしたりする時、本の間に銀杏や朝顔の葉のはさんだままに枯れているのを見ることがある。いかなる人がいかなる時、蔵書を愛するの余りになしたことか。その人は世を去り、その書は転々として知らぬ人の手より、またさらに知らぬ世の、知らぬ人の手に渡って行く。紙魚を防ぐ銀杏の葉、朝顔の葉は枯れ干されて、紙魚と共に紙よりも軽く、窓の風に翻って行くところを知らない。
〔一九四六(昭和二一)年九月『来訪者』