Classici giapponesi con furigana
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エスみさきせいようふじんこうさつじけん
S岬西洋婦人絞殺事件
夢野 久作
Leggi S岬西洋婦人絞殺事件 (エスみさきせいようふじんこうさつじけん) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.951 caratteri · 52 schermate
ただ一つ不思議なのはあの晩が月夜だった事で御座います。あの時には旦那方から『月が出ている筈はない』とヒドクお叱りを受けましたが、それから後、この留置所へブチ込まれまして、窓の眼隠し越しの三日月様を見て、指を折ってみますと、たしかにあの晩は闇夜だった筈なんで……ところが又、あの晩に私があの松原の中で、松の葉越しにマン円いギラギラ光るお月様を見ました事も間違い御座いませんので、それが夢でない証拠には、私のような老人が、あの真暗闇の松原の中を何にも引っかからずに通り抜けて、あの危なっかしい岩山の絶頂に登って寝ていたので御座いますからね。飲みさしの燗瓶もそこにちゃんと立っていたのですから月あかりを便りにした事は間違いないと思いますので……こればっかりは不思議で不思議で仕様がないので御座います。
いいえ。どう致しまして。この年になるまで寝呆けた事なんか只の一度も御座んせん。寝言一つ他に聞かれた事が無えんで……不思議といったってコンナ不思議な事は御座んせん。それに翌る日のくたびれようと、頭の痛み加減が又いつもと変っておりましたようで、口の中の変テコな臭いと味わいが丸で大病をしたアトのようで、ここへ這入ってからも飯が咽喉へ通らない位で御座いました。