Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あすなろう

あすなろう

山本 周五郎

Leggi あすなろう di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 19.925 caratteri · 41 schermate

Aozora Bunko

文次は跼んで、持っている匕首の刃を、草の葉へこすりつけた、「これまでの罪を償うたあ云わねえ、こんなことで罪がなせるたあ思わねえが、もうおれも運が尽きた、こんどはどうあがいてもだめだろう、どうせなくなる命なら、生涯に一度、人だすけがしたくなった」

「これが」と政はきれぎれに云った、「どうして人だすけだ」

「あの娘をたすけてやりたかったんだ」

「聞えねえ」

「それにおめえだって、罪を重ねて生きているより、このへんでおさらばをするほうが安楽だ」と文次は云った、「おれもおめえも、しょせんいちど死ななけりゃあ真人間にゃあなれねえ、おたげえにさんざ勝手なことをして来たんだ、いっしょにこの世をおさらばとしよう、なあ政、わかるだろう」

「聞えねえ」と政は身もだえをした、「おれにゃあ、よく聞えねえよ」

「おめえ一人はやりゃあしねえ」文次は政の側へいって跼み、相手の耳へ口をよせて云った、「――政、おれもあとからすぐにいくぜ」

政の両手が文次の腹へとんだ。文次が膝を突くと、もう一度、政の手がひらめき、同時に、文次もまた政の胸を刺した。政は喉をごろごろ鳴らし、仰向きになったが、すぐに上半身だけ横になり、匕首を持った