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Classici giapponesi con furigana

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あめんちあ

あめんちあ

富ノ沢 麟太郎

Leggi あめんちあ di 富ノ沢 麟太郎 (とみのさわりんたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.594 caratteri · 83 schermate

Aozora Bunko

それにいまは決して必要もなさそうな振鈴が、軋む戸とともにその倍以上も鳴り響くので一層気がひけていらいらとさせられる――しかしいまはそんな臆病な気持に捉われていてはいけない。

絶対絶命の時ではないか。

どんな種類の犯人でも、一度は逃げのびられるだけは逃げのびたいと願うものである。

たったいまの彼の心もそれと少しの変りもない。

交番所に隣接した郵便局には、女事務員が四人も働いている。

そうして彼女等に雑って一人の老人がいるに過ぎない。

そこで、彼は夜中こっそりとこの郵便局へ忍び込んで、金庫をねじあける、そうしてそこにある金銭をみな持ち出す。

これがうまうまと成就すれば、彼はこの金銭を自分の部屋の火鉢の灰の底へ掩蔽してしまう。

この思いつきは、彼にとっては一つの誇りであるとさえ思える。

そうして彼はそしらないふうを装うて小金から費い出す。

彼が先日以来気まぐれに考えていたことを、あの鬚のない若い警官がちゃんと飲み込んでいる。

彼の胸のなかを伝心的に見破っている。

警官は彼の考えをすっかりと胸のなかに感じている。

彼は怕しいと思った。

彼は狼狽てない態度で部屋のなかを見廻した。

部屋のなかの疲れたような静寂は、急に室内の壁の表面へ喧噪な響を波打ちはじめた。