Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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あるおとこのだらく

ある男の堕落

伊藤 野枝

Leggi ある男の堕落 (あるおとこのだらく) di 伊藤 野枝 (いとうのえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.585 caratteri · 27 schermate

Aozora Bunko

この世の中だって、やっばりそれと同じだよ。命令中枢がなくちゃ、動かないんだ』とこういいやがるんだ。成程なあ、俺あそんな体のことなんか知らねえから返事に詰まっちゃったんだ。すると坊主の奴、『どうだ、それに違いないだろう』ってぬかしやがる。俺あ口惜しいけれど、黙ってたんだ。すると『よく考えて見ろ、お前のいうことは確かに間違ってる』って行っちまいやがった。」

「さあ口惜しくてならねえ。こうなりゃ仕事もくそもあるもんか。俺はそれから半日、夜まで考えてやっと考えついたんだ。それから今度坊主が来た時に俺はいってやった。『俺のいうことは間違ってやしねえ。俺は無学で人間の体がどういう風に働くか知らねえが、うんと歩いてくたびれ切った時にゃ、いくら歩こうと思ったって、足が前に出やしねえ。手が痛い時にゃ動かそうと思ったって動かねえや。またいくら食おうと思って食ったって、口までは食ったって胃袋が戻しちまうぜ。それでも何でもかんでも頭のいう通りになるのかね。それからまたよしんば、方々で頭のいうこと聞いて働くにした処でだね、その命令を聞く奴がいなきゃどうするんだい? 足があっての、手があっての、なあ、働くものあっての中枢とかいうもんじゃないか。