Classici giapponesi con furigana
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いのちのしょや
いのちの初夜
北条 民雄
Leggi いのちの初夜 (いのちのしょや) di 北条 民雄 (ほうじょうたみお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.366 caratteri · 63 schermate
佐柄木は尾田の驚きを察したらしく、つと立ち上がって当直寝台――部屋の中央にあって当直の附添いが寝る寝台――へすたすたと歩いて行ったが、すぐ帰って来て、
「はははは。目玉を入れるのを忘れていました。驚いたですか。さっき洗ったものですから――」
そう言って尾田に掌手に載せた義眼を示した。
「面倒ですよ。目玉の洗濯までせねばならんのでね」
そして佐柄木はまた笑うのであったが、尾田は溜まった唾液を呑み込むばかりだった。義眼は二枚貝の片方と同じ恰好で、丸まった表面に眼の模様がはいっていた。
「この目玉はこれで三代目なんですよ。初代のやつも二代目も、大きな嚏をした時飛び出しましてね、運悪く石の上だったものですから割れちゃいました」
そんなことを言いながらそれを眼窩へあててもぐもぐとしていたが、
「どうです、生きてるようでしょう」
と言った時には、もうちゃんと元の位置に納まっていた。尾田は物凄い手品でも見ているような塩梅であっけに取られつつ、もう一度唾液を呑み込んで返事もできなかった。
「尾田さん」
ちょっとの間黙っていたが、今度は何か鋭いものを含めた調子で呼びかけ、
「こうなっても、まだ生きているのですからね、自分ながら、不思議な気がしますよ」