Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おいてけぼり

おいてけ堀

田中 貢太郎

Leggi おいてけ堀 (おいてけぼり) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 1763 caratteri · 4 schermate

Aozora Bunko

今時、唐傘のお化でも釣りゃ、良い金になるぜ」

「金になるよりゃ、頭からしゃぶられたら、どうするのだ。往くなら、他へ往きなよ、あんな縁儀でもねえ処へ往くものじゃねえよ」

「なに、大丈夫ってことよ、おいらにゃ、神田明神がついてるのだ」

「それじゃ、まあ、往ってきな。其のかわり、暗くなるまでいちゃいけねえぜ」

「魚が釣れるなら、今晩は月があるよ」

「ほんとだよ、年よりの云うことはきくものだぜ」

「ああ、それじゃ、気をつけて往ってくる」

金太は笑い笑い老人に別れて池へ往った。池の周囲には出たばかりの蘆の葉が午の微風にそよいでいた。金太は最初のうちこそお妖怪のことを頭においていたが、鮒が後から後からと釣れるので、もう他の事は忘れてしまって一所懸命になって釣った。そして、近くの寺から響いて来る鐘に気が注いて顔をあげた。十日比の月魄が池の西側の蘆の葉の上にあった。

金太はそこで三本やっていた釣竿をあげて、糸を巻つけ、それから水の中へ浸けてあった魚籃をあげた。魚籃には一貫匁あまりの魚がいた。

「重いや」

金太は一方の手に釣竿を持ち、一方の手に魚籃を持った。と、何処からか人声のようなものが聞えて来た。