Classici giapponesi con furigana
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おきくとおとうと
おきくと弟
小川 未明
Leggi おきくと弟 (おきくとおとうと) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 2188 caratteri · 5 schermate
「きくや、ご苦労でも学校までマントを持っていっておくれ。そして帰りに、どこか、げた屋へ寄って、あの鼻緒の切れたあしだの鼻緒をたてかえてきてくれない。」といわれました。
晩の仕度をしかけていた十八ばかりになる女中は、奥さまのいいつけに従って、さっそく汚れた前かけをはずして、出かける用意にとりかかりました。まだ、この家に奉公して、三月とたたないので、坊ちゃんの学校をよく知らないのです。それで、奥さまから道を聞いて、雨の降る中をげたをさげ、マントを抱えて出かけてゆきました。
もう、そろそろ授業が終わって、退けかかるので、おきくは、坊ちゃんが出てくるのを学校の入り口で立って待っていました。風の吹くたびに冷たい雨のしぶきが、彼女のほおにかかりました。天気のよくない日は、あたりが暗く、日がいっそう短いように思われたのです。小鳥がぬれながら、あちらの木の枝にとまりました。
「いまごろ弟は、どうしたろう……。」と、おきくは、故郷の小さな弟のことを思い出しました。
こちらへくるまでは、雨が降ったときは、やはりこうして弟を迎えにいったのでした。自分がこちらへきてしまってから、もはや降っても、だれも迎えにいってやるものがありません。