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Classici giapponesi con furigana

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おせん

おせん

邦枝 完二

Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate

Aozora Bunko

「坊主。おめえ、表の声が聞えねえのか」

「誰か来ておりますか」

「来てる。戸を開けて見ねえ」

「へえ」

「だが、こっちへ通しちゃならねえぜ」

半信半疑で立って行った坊主は、背をまるくして、雨戸の隙間から覗いた。

「おや、あたしでござんすよ」

「おお、おせんさん」

坊主は、たてつけの悪い雨戸を開けて、ぺこりと一つ頭をさげた。そこには頭巾で顔を包んだおせんが、傘を肩にして立っていた。

「親方は」

「仕事なんで。――」

「御免なさいよ」

「ぁッいけません。お前さんをお上げ申しちゃ、叱られる」

「ほほほほ、そんな心配は止めにしてさ」

「でもあたしが親方に。――」

「坊主」と、鋭い声が奥から聞えた。

「へえ」

「いまもいった通りだ。たとえどなたでも、仕事場へは通しちゃならねえ」

「親方」と、おせんは訴えるように声をかけた。

「どうかきょうだけ、堪忍しておくんなさいよ」

「いけねえ」

「あたしゃお前さんに、断られるのを知りながら、もう辛抱が出来なくなって、この雨の中を来たんじゃござんせんか。――後生でござんす。ちょいとの間だけでも。……」

「折角だが、お断りしやすよ。あっしゃァお前さんから、この人形を請合う時、どんな約束をしたかはっきり覚えていなさろう。