Classici giapponesi con furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Leggi おせん di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 74.074 caratteri · 148 schermate
降る雨よりしげき思いがあった。
年からいえば五つの違いはあったものの、おなじ王子で生れた幼なじみの菊之丞とは、けし奴の時分から、人もうらやむ仲好しにて、ままごと遊びの夫婦にも、吉ちゃんはあたいの旦那、おせんちゃんはおいらのお上さんだよと、度重なる文句はいつか遊び仲間に知れ渡って、自分の口からいわずとも、二人は真ぐさま夫婦にならべられるのが却てきまり悪く、時にはわざと背中合せにすわる場合もままあったが、さて、吉次はやがて舞台に出て、子役としての評判が次第に高くなった時分から、王子を去った互の親が、芳町と蔵前に別れ別れに住むようになったばかりに、いつか会って語る日もなく二年は三年三年は五年と、速くも月日は流れ流れて、辻番付の組合せに、振袖姿の生々しさは見るにしても、吉ちゃんおせんちゃんと、呼び交わす機はまったくないままに、過ぎてしまったのであった。
女形といえば、中村富十郎をはじめ、芳沢あやめにしろ、中村喜代三郎にしろ、または中村粂太郎にしろ、中村松江にしろ、十人いれば十人がいずれもそろって上方下りの人達である中に、たった一人、江戸で生れて江戸で育った吉次が、他の女形を尻目にかけて、めきめきと売出した調子もよく、やがて二代目菊之丞を継いでからは上上吉の評判記は、弥が上にも人気を煽ったのであろう。