Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おれのにょうぼう

おれの女房

山本 周五郎

Leggi おれの女房 (おれのにょうぼう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.296 caratteri · 46 schermate

Aozora Bunko

それを知っていて、あの絵をもちだす筈はない。だがそのほかになにがあるか、写生の白描などならあるが、そんなものを買う粋狂人もあるまい。

それよりも、いったいその絵を買ったというのは誰だろうか。このところ絵を求めに来るのは、殆んど阿波屋加平ひとりに限られている。阿波屋、……又五郎はぎゅっと茶碗を握りしめた。一昨日、家を出るときお石が云った、阿波屋の旦那が来たらなんと返事をするのか。そうだ、阿波屋がもう催促に来る筈だった、留守に来て、もしもお石があの描きかけの絵をだしてみせたとしたら。

――ああいけない、それだ。

又五郎は危うく声をあげそうになり、茶碗を置いて立ちあがった。お勝もびっくりし、五兵衛も駒を持ったまま振返った。だが又五郎はのぼせたようになって、

「お邪魔をしました、心配なことができましたから、どうも御馳走さま」

こんなまごついたことを云いながら外へ出た。路地へはいると、ようやく酒もりも終ったとみえ、姦しく笑ったり、あけすけにみだりがましい言葉を投げあったりしながら、女房たちが別れ別れに出てゆくところだった。

その声が聞えなくなり、みんながそれぞれの家へはいるとすぐ、お石が戸口から顔をだすのがみえた。