Classici giapponesi con furigana
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おれのにょうぼう
おれの女房
山本 周五郎
Leggi おれの女房 (おれのにょうぼう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.296 caratteri · 46 schermate
「金はどうした、幾ら受取ったんだ」
「そんなに欲しきゃ出してやるから、そこをどいてあたしを起しと呉れよ、放さないのかね」
又五郎が手を放すと、裾のみだれているのも構わず、お石は針箱のところへいってそれをどけた。その下に古ぼけた手縫いの財布が隠してあった。お石はその中から紙に包んだのを取り出して、あてつけのようにこっちへ投げてよこした。
「これでみんなか、これだけ受取ったのか」
「差配んとこやほかのこまごました借を払ったよ。米屋だって酒屋だって、たまには幾らか入れなきゃ、あたしがどんなにずうずうしくたって」
「そんなことをきいてやあしない、いったい阿波屋から幾ら貰ったかと云ってるんだ」
「あたしが頂いたのは五両だよ、とりあえずこれだけと仰しゃったから、あとはどうなるか知らないけど、それだけ出して下すったから頂いて、――どうするのさ、そのお金を持ってどうしようってのさ」
又五郎は金を包んで袂へ入れて立ちあがって帯を締めなおした。
「どうするものか、いって金を返すんだ、そしてあの絵を破いてくるんだ」
「その金を返すって、おまえさん、本当に返すのかい」
又五郎は黙って土間へおりた、お石は顔色を変えて追って来て、それから裂けるような声でどなった。