Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

洋一は飯を代えながら、何とも返事をしなかった。やりたい文学もやらせずに、勉強ばかり強いるこの頃の父が、急に面憎くなったのだった。その上兄が大学生になると云う事は、弟が勉強すると云う事と、何も関係などはありはしない。――そうまた父の論理の矛盾を嘲笑う気もちもないではなかった。

「お絹は今日は来ないのかい?」

賢造はすぐに気を変えて云った。

「来るそうです。が、とにかく戸沢さんが来たら、電話をかけてくれって云っていました。」

「お絹の所でも大変だろう。今度はあすこも買った方だから。」

「やっぱりちっとはすったかしら。」

洋一ももう茶を飲んでいた。この四月以来市場には、前代未聞だと云う恐慌が来ている。現に賢造の店などでも、かなり手広くやっていた、ある大阪の同業者が突然破産したために、最近も代払いの厄に遇った。そのほかまだ何だ彼だといろいろな打撃を通算したら、少くとも三万円内外は損失を蒙っているのに相違ない。――そんな事も洋一は、小耳に挟んでいたのだった。

「ちっとやそっとでいてくれりゃ好いが、――何しろこう云う景気じゃ、いつ何時うちなんぞも、どんな事になるか知れないんだから、――」