Classici giapponesi con furigana
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おりつとこらと
お律と子等と
Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate
松は濡れ手を下げたなり、銅壺の見える台所の口に、襷がけの姿を現していた。
「どこだい?」
「どちらでございますか、――」
「しょうがないな、いつでもどちらでございますかだ。」
洋一は不服そうに呟きながら、すぐに茶の間を出て行った。おとなしい美津に負け嫌いの松の悪口を聞かせるのが、彼には何となく愉快なような心もちも働いていたのだった。
店の電話に向って見ると、さきは一しょに中学を出た、田村と云う薬屋の息子だった。
「今日ね。一しょに明治座を覗かないか? 井上だよ。井上なら行くだろう?」
「僕は駄目だよ。お袋が病気なんだから――」
「そうか。そりゃ失敬した。だが残念だね。昨日堀や何かは行って見たんだって。――」
そんな事を話し合った後、電話を切った洋一は、そこからすぐに梯子を上って、例の通り二階の勉強部屋へ行った。が、机に向って見ても、受験の準備は云うまでもなく、小説を読む気さえ起らなかった。机の前には格子窓がある、――その窓から外を見ると、向うの玩具問屋の前に、半天着の男が自転車のタイアへ、ポンプの空気を押しこんでいた。何だかそれが洋一には、気忙しそうな気がして不快だった。