Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

おりつとこらと

お律と子等と

芥川 竜之介

Leggi お律と子等と (おりつとこらと) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.195 caratteri · 51 schermate

Aozora Bunko

「戸沢さんとか云う、――かかりつけの医者は御呼び下すったでしょうな。」と云った。

「ただ今電話をかけさせました。――すぐに上るとおっしゃったね。」

賢造は念を押すように、慎太郎の方を振り返った。慎太郎はまだ制服を着たまま、博士と向い合った父の隣りに、窮屈そうな膝を重ねていた。

「ええ、すぐに見えるそうです。」

「じゃその方が見えてからにしましょう。――どうもはっきりしない天気ですな。」

谷村博士はこう云いながら、マロック革の巻煙草入れを出した。

「当年は梅雨が長いようです。」

「とかく雲行きが悪いんで弱りますな。天候も財界も昨今のようじゃ、――」

お絹の夫も横合いから、滑かな言葉をつけ加えた。ちょうど見舞いに来合せていた、この若い呉服屋の主人は、短い口髭に縁無しの眼鏡と云う、むしろ弁護士か会社員にふさわしい服装の持ち主だった。慎太郎はこう云う彼等の会話に、妙な歯痒さを感じながら、剛情に一人黙っていた。

しかし戸沢と云う出入りの医者が、彼等の間に交ったのは、それから間もない後の事だった。黒絽の羽織をひっかけた、多少は酒気もあるらしい彼は、谷村博士と慇懃な初対面の挨拶をすませてから、すじかいに坐った賢造へ、